イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

これ、って……。



「あーん」



そう言って、さらにハンバーグを近づけてくる桜に、俺はこの状況を噛みしめてからぱくりとかぶりついた。

今の、なんか……恋人がするやつみたいだった。

前までの俺なら憧れなんて少しもなかったけど、桜とならどんなことだって嬉しいし、逐一喜んでしまう。

……ていうか、何このハンバーグ。



「……うまい……」



こんなうまいハンバーグは、生まれて初めて食べた。いや、冗談は抜きにして。

これまで父親にいろんな店に連れていってもらったし、舌は肥えてるほうだと思ってたけど……このハンバーグはうますぎる。

これは好きな相手が作ったものだからか? それとも桜が料理上手すぎる……? まあきっと、その両方だ。



「よかったっ」



俺の感想に、桜は安心したように胸を撫で下ろした。



「もうすぐできるから、万里くん先に手洗ってくる?」