「それにしてもさ……日奈子って天然ぶってんのかな?」
日奈子……。
その名前を知っていた。
いつも彼女と仲のいい女。
友達から聞いたが、その女は校内で一番モテているとか。
どこからどう見ても、彼女のほうが魅力があると俺は思うけど。
「わかる。キャラ作ってるよね、あれは」
どうやら、女特有の僻みの会話になったらしい。
「桃井さんもそう思うよね~?」
彼女の肩が、びくりと震えた。
……なんて言うだろうか。普通、ここは助けに入る場面だろうに、俺はどうしても彼女の言葉が気になった。
どうしてか、彼女のその答えを聞けば、俺の中のこの感情の“答え”も、わかる気がしたんだ。
じっと、彼女の言葉を待つ。
いつもおっとりしていて、和やかな雰囲気をまとっている彼女。その表情が、見たこともないような厳しい雰囲気に変わった。

