こんな女もいるんだなと思ったのは、彼女と出会ってから数度目だ。
「それじゃあ3人と桃井さんは図書室の整理。佐伯くんは、私と資料室の整理お願いしてもいいかしら?」
……は?
「男手が欲しくって。お願いね」
にっこりと微笑み、そう言った教師。
遅刻した3人と同じ場所を任された彼女はというと、いそいそと図書室の方向に行ってしまった。
……最悪。
あの子がいるから残ったのに……。
せめてとっとと資料室の整理を終わらせて、図書室のほうに手伝いに行こうと思ったけど、俺は異変に気づいた。
「えーっと、手伝ってもらいたいことはねぇ……」
やることを必死に探しているような教師に、率直に騙されたと判断する。
「……用事思い出しました。帰ります」
「えっ……?」
返事も聞かずに、資料室を出た。