イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

少し悩むように間を開けたあと、先輩の口から出た言葉に肩を落とす。



「髪がすごく綺麗で、肌白くて、いつも花の世話してる子で……学年だけでもわかりませんか?」



俺は必死に彼女の特徴を先輩に伝えた。

なんとか手がかりに繋がらないかと、すがるような思いだった。



「佐伯、椎名に女の話しても無駄だぞ」



先輩の隣にいたバスケ部のキャプテンが、そう言って意味深な笑みを浮かべた。



「そいつゾッコンの相手いるらしいから。ちょーガード堅いの。何回呼んでも合コン来てくれないし」

「いや、そういう話じゃないよ、今は」



俺の心の声を代弁するかのような先輩のセリフに、同意するように頷いた。



「つーか、それ桃井桜じゃね?」



どこから話を聞いていたのか、背後にいた同じ1年のヤツがそう言った。



「桃井、桜?」



それが――あの子の、名前?