イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

それなのに、彼女は……。

俺は一瞬、こんなふうに愛されている花が、うらやましいとすら思った。



「……っ」



そして、そんなことを思った自分に驚いた。

母親から連絡が来て、気でもおかしくなったのか……?

こんなバカなこと考えるなんて……どうかしてる。

俺は頭をガシガシと掻いて、裏庭をあとにした。


その日から、花壇の少女が頭から離れなくなった。

一番嫌いなはずの「女」が頭の中を支配しているというのに、不快だとか、そういった悪い感情はなかった。

むしろ、どうして彼女のことをここまで考えてしまうのか、気になって仕方なかった。

そんなある日、バスケ部の助っ人を頼まれ、練習試合に出た。

うちのバスケ部は部員数が少ないらしく、いつも試合前は助っ人を頼んでいるらしい。

その日は別に用事がなかったから、二つ返事で参加した。