イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

あの女の声を聞いてしまったなんて、今日は嫌な日だ。他に男を作って俺たちを捨てていったあんな女のこと、もう母親とも思ってないけど。

苛立ちながら、少しでも気分を晴らそうと人気の少ない裏庭に行った。

静かな裏庭に、なぜか水の音がする。

雨も降ってないはずなのに……誰か水遊びでもしてるのか……?

そう思い、音のするほうを見た。

そこには、1人の女子生徒がいた。

規則よりも随分長くしたスカートに、黒いカーディガン。

うちの制服はそこまで地味だったかと思うくらい、地味な格好をしているその生徒が、花に水をやっていた。

女がいたことに、最悪だ……と思うよりも、彼女が水をやっている花壇の美しさに視線が留まった。

こんなところに花壇があったのか……。

花や植物は育てたことはないが、知識ならある。花壇に咲く花は、こんな日当たりの悪い場所で咲くような世話の簡単な花ではなかった。