イケメン同級生は、地味子ちゃんを独占したい。

こんな展開はなしだって……なんでよりによって彼女なんだ。

あの子のほうは俺のことを知らなかったけど、俺は一方的に知っていた。


桃井桜と出会ったのは、高校に入学してすぐのことだ。

相変わらず高校でも騒がれ、俺は疲れていた。

友人に、俺は女嫌いだから近づかないでほしい、という噂を流してくれるよう頼み、少しは落ち着いたけど……。

桜に初めて会った日は、ひどく苛立っていた。

朝から知らない番号から連絡があって、出るとあの女からのものだとわかった。



『もしもし、万里? おかあさ――』



そこまで聞こえて、すぐに電話を切った。

俺の誕生日が近づくと、毎年連絡をしてくる母親。

俺は話したくもないから着信拒否にしていたけど、どうやら連絡先を変えたらしい。