俺が小学5年のときに母親が出ていってから、男手一つでここまで育ててもらったことに感謝をしているし、前の母親みたいにだらしないヤツじゃなく、今度こそちゃんとした相手と結婚してほしいと思っていた。



「一個上のお姉ちゃん!? 最高じゃん!!」

「俺も妹ができるのは嬉しいな」

「お前たち……絶対に変なことはするなよ。ちゃんと家族として迎えてくれ。でも……ありがとう。さっそく来週、相手の人が挨拶に来てくれるんだ」



ぎくりと、嫌な音が鳴る。



「……俺、来週は予定あるから無理」

「そうか……じゃあ日程を変えてもらうことにするよ」

「いや、俺抜きでして。どんな人が来ても、ちゃんと対応するから」



そう言って、俺は相手がこの家に引っ越してくるまで、いっさい面会には応じなかった。
歓迎はするから、面会とか面倒くさいことは勘弁してほしい。


そして、迎えた引っ越し当日――。