「ふふっ、それじゃあ明日からは起こすねっ……」



そう言うと、万里くんはなぜか目を輝かせて私を見る。



「ほんと? 桜が起こしてくれるなら起きる」



そんなに嬉しそうにすること……?と思ったけど、喜んでいる姿が可愛くて、頰が緩みっぱなしになる。

万里くんはいろんな魅力がある人だなぁと改めて思ったとき、ふとあることを思い出した。


「あ……万里くん、先に帰ってて」

「なんで?」

「私、晩ごはんの材料買ってから帰るから」



今日、私が晩ごはん係だったっ……。スーパーは家のすぐ近くだから、寄って帰らなきゃ。
晩ごはん、何にしようかなぁ……。



「俺も行く」

「え?」

「一緒に行こ」

「で、でも、すぐ近くだから大丈……」

「買いたいものあるし。……ダメ?」



捨てられた子犬のような目で見つめられ、NOとは言えなかった。