―シュウを殺してあの日に戻る―


二人で夢を持って励ましあい、支えあっていたあの日に。


ケンタの頭の中にはそんな考えが巡っていた。


後ろを向いているシュウに一歩づつ進んでいくと、足が、手が震えてきた。



「エリちゃんは元気か?
お前が来てくれるとは思ってなかったから嬉しいよ」



そんなシュウの懐かしい声を聞くと、思わず涙が溢れてきそうになった。


-ダメだ、迷っちゃダメだ-


シュウの声が、迷いが、頭の中をぐるぐると駆け回っていた。

そんな迷いを断ち切るようにケンタは顔を二、三度横に振る。


そして、しゃがみこむシュウに対し、ケンタは大きく包丁を振りかざした



その瞬間だった



「ケンタ。」