ぶらぶら外を歩いているとき、走ってきた彼女に気付くのが遅れて俺と彼女はぶつかった。


「こんなの、舐めとけば治るんで!!」

「舐めるって・・・あはは」


その日、俺は久々に大声で笑ったかもしれない。


まだ初々しさが残るその子は、真新しい制服をきて。

でも寝坊をしたのか寝ぐせも少しついているし、汗もびっしょり。


それなのに、その子が綺麗だと思った。

それは、桜マジックだったんだろうか。

満開に咲き誇る桜の下で、自分が言った言葉に恥ずかしそうに顔を赤くする彼女が綺麗だと。



「あはは。うん、またね」

またね。そのセリフは嫌い。

だって、もう二度と訪れないかもしれないから。


それなのに、この子にそういってしまったのは、やっぱり桜マジックだったのかもしれない―――。