「それなのに咲弥が美紅をそういう目で見てるなんて、もう間違いが起きる一歩手前じゃない」
「それは……考え過ぎじゃないか?」
「いいえ! あなた全然分かってないのね。あの子たちはひとつ屋根の下で暮らしてるのよ? 美紅は優しい子だから、咲弥に言い寄られたら絶対に断れない。そうなったら女の方が傷付くのよ?
私はあの二人がどうこうなるのだけは避けたいわ」
義母の辛辣な言葉を聞き、足元からスウッと冷えていくのを感じた。そのまま部屋に戻り、ベッドに潜り込んだ。
サクはその夜、悔しさと悲しさで、一睡も出来ないまま朝を迎えた。
義母が美紅を大切に思っているのには気付いていたが、その愛情の一欠片すらも自分には向けられない。それどころか、大切な者を穢す存在として捉えられている。
義母が言うように、妹を傷付ける存在が自分だとしたら遠く離れておかなければいけない、そう決意したそうだ。
**
「元々義母さんが俺を良く思っていないのは、何となくだけど気付いてた。俺は男だし、美紅みたいに大人しく家にいる事なんて出来なかったから」
「……そっか」
「それは……考え過ぎじゃないか?」
「いいえ! あなた全然分かってないのね。あの子たちはひとつ屋根の下で暮らしてるのよ? 美紅は優しい子だから、咲弥に言い寄られたら絶対に断れない。そうなったら女の方が傷付くのよ?
私はあの二人がどうこうなるのだけは避けたいわ」
義母の辛辣な言葉を聞き、足元からスウッと冷えていくのを感じた。そのまま部屋に戻り、ベッドに潜り込んだ。
サクはその夜、悔しさと悲しさで、一睡も出来ないまま朝を迎えた。
義母が美紅を大切に思っているのには気付いていたが、その愛情の一欠片すらも自分には向けられない。それどころか、大切な者を穢す存在として捉えられている。
義母が言うように、妹を傷付ける存在が自分だとしたら遠く離れておかなければいけない、そう決意したそうだ。
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「元々義母さんが俺を良く思っていないのは、何となくだけど気付いてた。俺は男だし、美紅みたいに大人しく家にいる事なんて出来なかったから」
「……そっか」



