近くて遠い私たちは。

「まぁちょっとな。……色々あったんだ」

 ーー色々って。

 曖昧な言葉で濁されるとどうにも気になってしまう。

 墓地から出て、すぐそばにある公園に入った。七月中旬の季節に相応しく、蝉の鳴き声がそこかしこから聞こえてくる。

 あの鳴き声を耳にすると、ああ、夏が来たなぁ、と一気に爽快な気分になる。

 虫取り網を振り回す小学生らしき男の子たちを見て、あぁ懐かしいなぁ、サクにもこんな時があったなぁ、と郷愁に似た思いが湧き上がった。

「懐かしいな?」

 不意にサクが言った。

「え……」

「俺たち、昔はああやってよく遊んだよな?」

 言いながら、サクは近くのベンチに腰を下ろした。

「……うん。そうだね」

 私も同様に、隣りへ座る。サクと同じ事を考えていた事が嬉しくて、自然と顔が(ほころ)んだ。

 暫くの間、無言で子供たちの遊ぶ様子を眺めていたけれど、サクが思い出したように口を開いた。

「お前は知らないけどな……今だから言える事、話すよ」

 そう前置きをしてから、眉を下げてフッと笑った。