近くて遠い私たちは。

 そのうちに段々悔しくなってきて、時々狙ったように露出度を高めて薄着で過ごした。

 いつもより少しだけ派手に化粧をして、出来るだけ胸元の開いたオフショルダーのカットソーとミニスカートを穿いて部屋で着ていると、それを見たサクがチッ、と舌打ちをついてボヤいた。

「キャバ嬢かよ」

 ーーなに??

 って事は、露出すればいいというわけでは無い、……という事?

 自分でもちょっと恥ずかしいなと思っていただけに、羞恥心満載だった。

 サクの好きなタイプが全く分からず、私は頭を抱えた。

 中三の頃に連れて来ていた女の子は、ほぼ全てが制服姿だったし、高校生の頃や大学時代の交遊関係は知らない。

 もしや清楚系か? と思い、それなりの格好をしていた事もあったが、サクは眉を寄せて嘆息するだけだった。

「……美紅、お前のさぁ」

「なに?」

 サクが私の魅力についてようやく言及するのだと思った。ズイと身を乗り出し、蘭々と目を輝かせた。

「いや。お前の彼氏って、趣味の幅広いのな?」

 ーーはぁ?

 私はあからさまに顔をしかめて、ムッとした。

「あ、いや。悪い。最近美紅が訳の分かんねー格好ばっかしてるから」

「もういいよ! サクの馬鹿っ!」

「って、おい! 兄貴って呼べっていつも、」

 私は部屋を飛び出して、勢いよく玄関の扉を閉めた。