近くて遠い私たちは。

 その日の夜は久しぶりに家族三人で夕食をとった。

 家族らしく楽しい時間を過ごす事が出来たけれど、私は義父のいるこの家で、再び暮らす事を拒否した。

 いつまた義父が変な気を起こすか分からないし、私も安心して暮らせない。やはり血の繋がりが無いというのはそういう事なのだ。

 行く当ての無い私は、相変わらずサクの部屋で居候を続けた。

 勿論、サクとの血縁関係も無いので兄妹同士で間違いがある事も考えられた。けれど、心底サクに惚れ込んでいる私はそれでも良いと思っていた。

 サクになら、何をされても良い。好きな人のそばだと心は安定して、いつも幸せでいられた。

 しかしながら、一カ月が過ぎ、二カ月が過ぎ、大学を卒業する頃になってもサクは私に手を出さなかった。

 必要以上に私に触らないように気をつけているのか、それとも妹だからその気すら起きないのか……。

 女癖が悪く、きっと性の相手なら両手は軽く超えるだろうに、そのサクが私と一緒に暮らし始めてから全く女の影を匂わせない。

 完全なる禁欲状態なのに、すぐそばに血縁関係にも無い手頃な妹がいるのに、サクは平然としていた。

 ーー私。そんなに魅力ないのかな。

 それほど大きくもない胸を見下ろし、溜め息をついた。