申し訳無さそうにする義父を見て、クス、と笑みが漏れた。

「いーよ、それぐらい。お安い御用!」

 義父の指示を受けながら、肩の下と腰あたりに湿布を貼っていく。

「美紅は優しくて可愛くて、本当にいい子だな」

「ふふっ、やめてよ。そんなお世辞言ったってなんにもあげないよーだ!」

 六枚の小さな湿布を貼り終え、「お義父さん、終わったよ?」と声を掛けた。

「ありがとう、美紅」

 義父はうつ伏せになった体勢から体を起こし、捲った服を元に戻した。

「しかし、美紅は本当に綺麗になったなぁ、今年……二十二か?」

「そうだよ」

 ーーサクの二個下だからね。

 そう心で続けて、「じゃあね」と言って部屋に戻ろうとした。

「あ、美紅」

「うん?」

 急に手を取られて、義父に引き止められる。

「そう言や昔、母さんが言ってたよ。美紅と咲弥がどうこうなるのだけは避けたいって」

「え……?」

 ーーお母さんが?

 義父に促され、私は再びベッドに座った。

「どういう事? お義父さんっ」

 真剣に訊いているのに、どういう訳か、義父はゆったりと微笑み、小首を傾げた。

「……でも。そこにお父さんの名前は出なかったし、こんな綺麗な娘がそばにいるんじゃあ……ちょっとぐらい変な気を起こしても仕方ないよなぁ?」