2.守る存在の裏切り
義父との二人暮らしを始めて三ヶ月が過ぎた。サクは以前と同様に、週一ぐらいのペースで家に顔を見せた。
元の生活リズムを取り戻すと、母が居ない事にも段々と慣れてきて、朝、母の写真に手を合わせてから家を出るのが日課になった。
あの時はもう生きていけないと打ちのめされたのに、時間って怖い。
けれど、さすがに何もかもが順風満帆にとはいかなかった。
頑張ろうとサクから気力を貰って挑んだものの、しかしながら、希望する会社には就職が叶わなかった。
本気で落ち込む私を、義父が明るい話題で励ましてくれる。時に私の好きなものを食べに行こうと外食にも連れ出してくれた。
母と三人で暮らしていた時は、ただ温厚で優しいといったイメージしか持て無かった義父だが、二人で暮らすようになってから、より義父の事が好きになった。
私を本当の娘のように大切に思ってくれているのが充分に感じられた。
「おーい、美紅」
部屋で大学のレポートを終えたところで、不意に義父の声が私を呼んだ。
「なに? お義父さん」
義父の部屋をノックして開けると、義父がベッドの縁に腰を下ろしていた。
「悪いけど、背中に湿布を貼ってくれないか? 今までは母さんにやって貰ってたんだけど……」
義父との二人暮らしを始めて三ヶ月が過ぎた。サクは以前と同様に、週一ぐらいのペースで家に顔を見せた。
元の生活リズムを取り戻すと、母が居ない事にも段々と慣れてきて、朝、母の写真に手を合わせてから家を出るのが日課になった。
あの時はもう生きていけないと打ちのめされたのに、時間って怖い。
けれど、さすがに何もかもが順風満帆にとはいかなかった。
頑張ろうとサクから気力を貰って挑んだものの、しかしながら、希望する会社には就職が叶わなかった。
本気で落ち込む私を、義父が明るい話題で励ましてくれる。時に私の好きなものを食べに行こうと外食にも連れ出してくれた。
母と三人で暮らしていた時は、ただ温厚で優しいといったイメージしか持て無かった義父だが、二人で暮らすようになってから、より義父の事が好きになった。
私を本当の娘のように大切に思ってくれているのが充分に感じられた。
「おーい、美紅」
部屋で大学のレポートを終えたところで、不意に義父の声が私を呼んだ。
「なに? お義父さん」
義父の部屋をノックして開けると、義父がベッドの縁に腰を下ろしていた。
「悪いけど、背中に湿布を貼ってくれないか? 今までは母さんにやって貰ってたんだけど……」



