彼の暴言にはヤンデレが隠されている。



それから、1週間くらい過ぎて。


私は、よく隣の席の片桐くんと話すようになった。

特に共通の話題も無いけれど

なんとなく話す他愛もない話が楽しい。



…坂下と羅島さんは最近一緒にいたのに、何故だか昨日から一切話していない。


どういうことかなんて考えても分からないし、考えても意味がないよね。



「音葉ちゃん、最近笑ってくれて嬉しい!もしかして片桐のおかげ?」

不意にゆりねちゃんに話しかけられて、

彼女は悪戯っぽく笑って片桐くんを指さしている。

ゆりねちゃんと片桐くんはどちらもバスケ部だから仲がいい。


だから、そんなふうに指差された片桐くんも「安藤うるさいわー」と楽しそうに笑っている。

それを見ていると楽しい気持ちが伝染して、


思わず笑顔になって、

「うん、ゆりねちゃんと片桐くんのおかげ!」


そう素直に答えることができた。


私を見て、ゆりねちゃんはますます嬉しそうに笑って、   


片桐くんはなんだか少し照れていた。



この2人といたら落ち着くなぁ。


そんなふうに穏やかに過ごしていたとき、


「佐々木さん、今話したいことあるんだけど良い?」


女の子らしいフローラルが香って、

控えめに羅島さんが私の方にやってきた。


今日も抜群に可愛い彼女に、 


「うん、大丈夫だよ」


と返して立ち上がり、

ゆりねちゃんと片桐くんに「ちょっと話してくるね」と言って羅島さんの元へ駆け寄った。


私が目の前に来るなり羅島さんは、

少し寂しそうに目尻を下げながら、


「あのね、私坂下くんにフラれちゃったんだぁ」

「彼には好きになってもらえないなって確信したから、実は諦めがついたの」


そう、静かながらもくっきりとした声色で私に伝えた。

「佐々木さんには質問をさせてもらったし、伝えたほうがいいかなって思ってね」

そう言って可憐に微笑む羅島さんを見て、


…なんで?この綺麗な人が選ばれなかったんだ?と頭は混乱を極めている。

それでも何とか言葉を返してあげようと思って、

「…えっと、気の利いたこと言えなくてごめん。けど、羅島さん可愛いから素敵な人すぐ現れると思う!」


そんな安い言葉しか浮かんでこなくて、それでも彼女は「ありがとう」と微笑んでくれている。