彼の暴言にはヤンデレが隠されている。



いつもより笑顔でいることを心がけた1日が終わって、


放課後、帰る準備をしようとスクールバッグに荷物を詰めていると、 

不意に片桐くんに話しかけられた。


「ねぇ、佐々木さんって彼氏とかいるの?」


「え」

ふと急に話しかけられたことにびっくりして固まってしまったけれど、

少し緊張したようにしている彼を見たら、固まってる場合じゃないなと思って、


「いないよ」


そう答えると、彼は「そっか」と言って、 


「…好きな人もいない?」

と、また聞いてきた。


頭に、ある人が浮かんだけれどすぐに打ち消して、 

「…うん、好きな人もいないよ」


そう答えると、


「…いないんだ、良かった」


「俺、頑張るから」
 

そう言って、

爽やかに微笑んで部活に向かっていった。



…え、今の、なに?



頑張るって…、なにを、だろうか。


少し自惚れてしまいそうな心を必死に引き留めて、

いつものポーカーフェイスを呼び覚ます。


特に意味は無いだろうと思いながら教室を出ようとすると、

ちょうど羅島さんが教室に入ってくるところだった。

……後ろには、坂下がいて。


私と羅島さんは目が合い、

お互い「あっ」と小さく声を漏らす。


羅島さんとどこかに行っていたであろう坂下は、もう興味無さげに1人歩いていった。


…一緒にいるということは上手くいっているのだろう、


そう思うのに上手く笑顔を作れない私がいて、気づけば


「…ぁ、羅島さん、また明日ね!」

そう言って手を振って足早に去ってしまった。