彼の暴言にはヤンデレが隠されている。



次の日。

学校に着いて、教室に入って。 

いつもならこの時間には来ていないのに坂下はもう来ていて、

…羅島さんと、話してる。


廊下側の後ろから2番目の彼の席で、

私には見せてくれない、笑顔で。



もう、忘れよう。本当に忘れよう。


気持ち悪いよ、流石に。

こんなの叶わないって分かってるのにアイドルに恋するファンと同じだ。


窓際の前から3番目、静かに1人席に着いて、


ぼんやりグラウンドを見つめる。

そのとき、ショートカットの女の子が私の近くまで来た。

「音葉ちゃんおはよ〜」

近くの席の友達、ゆりねちゃんが挨拶してくれて、

「うん、おはよう」

と言いながら、頑張って笑顔をつくる。


それを見て彼女は、ふふ、と笑って、

「いいんだよ、音葉ちゃんは楽しいとき可愛く笑ってるんだしね?」

無理しないで〜、

と可愛く微笑んでくれるから、

それを見て自然と口角が上がってきて、

「…ゆりねちゃん、優しいね」

あ、私今笑えてる気がする。

その私の予感は合っていたらしい。

うまく笑えてたらしくて、ゆりねちゃんも嬉しそうに笑う。

「笑えてるよ!よっし、今日も頑張ろうね〜!」

「うん!」

そうしていると、もう隣の席に片桐くんはやって来ていて、

不意に目が合って、

「…佐々木さん、おはよ!」

と明るく挨拶してくれたからか、さっきまでゆりねちゃんと笑い合っていたからだろうか。


「うん、おはよう」

ちゃんと、笑えた。


私が笑顔で挨拶すると、彼もまた、ゆりねちゃんのように嬉しそうに笑って、


「佐々木さんってポーカーフェイスなイメージあるからさ、」

「…なんか、笑ってくれるの嬉しい」


そう言って頬杖をついて、見つめてくる片桐くんに少しドキマギしてしまった。