渡り廊下につくと片桐くんは壁に背中を預けていて、
夕日のオレンジと相まって、
本当に爽やかな人だなぁと思った。
私が来たのに気づいた彼は、
私の方までやって来て、言った。
微笑みながら、少し、緊張したように。
「…俺佐々木さんのことが好きです」
「良かったら付き合ってくれませんか」
誰もが憧れるシチュエーションだと思う。
夕日の校舎で、
こんなに爽やかでかっこいい人に告白してもらえる、なんて。
…それでも、私の頭にはずっとある人ばかり浮かんでいて。
あぁ、結局それが答えなんだと。
きっと、昨日のことが無かったら私は片桐くんの言葉に頷いていたかもしれないし、
でもそうだったとしても、
私の心にはずっと、彼がいるだろう。
「…私は片桐くんに謝らないといけない」
「好きな人はいないって言ったけど、それは自分に嘘をついていただけで」
「それが片桐くんにも嘘をつくことになってしまった」
本当に、自分はつくづく嫌な人間だと思う。
「…ごめんなさい、私は片桐くんとは付き合えません。」
自己嫌悪で、押し潰されそうで。
だけど、片桐くんは優しく微笑んで、
「謝らないで。坂下くんが告白したって聞いて、もう俺が無理なのは分かってたから」
「だって俺が佐々木さんと話すたびに坂下くん、凄い顔でこっち見てきたからさ」
「でもさあんな暴言ばっか言うし、嫌になったら俺のとこ来なね?」
そんなことを優しく言ってくれる片桐くんは、
正真正銘、優しい人だと思う。
それなのに、
暴言は言うし冷たいし、
でも全部それが私へのとんでもない愛情だっていう彼を選ぶのは、
もう、理由なんて無いんだと思う。



