私はあのあと美夜を廊下に連れ出して、
「こう、ちょうど良いくらいに出来ないの?」
と聞いてみても、彼は
「音葉のこと好きすぎて抑えが効かないからずっと冷たく接してたんだし、」
「酷いこと言わねぇと止まんねぇ」
というなんとも難しい話らしい。
「…へぇ」
と少々照れてよく分からない表情になりつつ私が言っていると、
彼はニヤリと笑って、
その両手でガッと私の両頬を包んで自分のほうに向けさせ、
「だから、音葉の前でだけ本音言うことにする。」
そう言ったかと思うとグイッと顔を近づけて、
もう、キスしてしまいそうな至近距離で、
「覚悟しとけよ」
そう言って、そのまま教室に入ってしまった。
…なんなんだ、あの人本当。
訳わからない行動なのに私の心はとんでもなく乱されていた。
そして教室に戻り席に着くと片桐くんが私に話しかけてきて、
「ねぇ、佐々木さんと坂下くんって付き合ってるの?」
と聞いてきて、びっくりした私はしどろもどろになりながら、
「…あ、えっと、なんか、告白されたみたいな…」
と、答えると「あー」と彼は納得するように頷いて、
そのあと彼は少し何かを考えたあと、
意を決したように、
「…俺も今日の放課後話あるんだけど、良いかな?」
と真面目な表情で聞かれて、
「え、あ、うん」としどろもどろが止まらないままに、私も返事をした。
それから時間が過ぎ、
お昼ご飯の時間。
私はいつもは近くで食べている大所帯の女子のグループで食べさせてもらっているけれど、
今日はとある人が話しかけてきた。
「音ちゃん!私ね、音ちゃんとご飯食べたいんだけど良いかなぁ?」
そう、本日もとっても可愛いゆーゆ。
「もちろん良いよ!」
と快く返事したけど、
…思えば、ゆーゆの好きな人(好きだった人?)は美夜で、
私はそれを知ってて、
美夜は私に告白した。
…私とんでもなく嫌な女じゃないこれ?
どうしよう、これ少女マンガ的展開だったら今から私体育館裏でボコられるんじゃないか…?
どうしようどうしよう。
…と考えていたけれど、ゆーゆは本当に良い子だったらしく。
「あのねぇ音ちゃん!私坂下くんが音ちゃんのこと好きってすぐ気づいたんだよ!」
「だからねぇ、坂下くんがはやいところ告白してくれなきゃ私が音ちゃんにうっかり喋っちゃうと思ってねぇ!」
「だから音ちゃんと早く仲良くしたかったのに、こんなタイミングなっちゃったの!」
と、毎朝自分で作っているらしい可愛いお弁当の、
これまた可愛いパンダみたいなおにぎりをもぐもぐして飲み込んでは、
私にたくさんお話してくれる。



