彼の暴言にはヤンデレが隠されている。



あのあと彼は私の家まで送ってくれて、


『音葉に好きになってもらうために、もう我慢しねぇ』


とか


『ねぇ、坂下とか呼ばないで、美夜ってお前だけは呼んでくれるよな?』


とか、終始彼は甘かった。


その瞳には異常な愛すらも滲んでいたけれど、

不思議とそれを嫌だと思う自分はいなかった。



素直に『好きだ』と言われるたびに、

幼い日に隠そうとした私の密かな恋心が

一体どうなっているのって、

何がなんなのって混乱して、


どうしたら良いのかなんて、答えは出なかった。




次の日。


いつも通りの時間に家を出た。


…のに、いつもどおりでは無かった。


マンションのエントランスに、

スタイルの良い、

顔立ちの整った男子高校生…。


「…って、え!?なんで美夜いるの!?」


思わずびっくりして大きい声が出たのは仕方ないことだと思う。


私を視界に捉えた彼は、


朝だからか、珍しくふんわりと微笑んで、


「…おはよ。音葉と一緒に学校行きたいから…、嫌?」


…こんなときに、

その綺麗な顔で首をコテンとして聞くのは反則ってもんだと思うよ。


「…嫌じゃないよ」


そう言って、彼の隣で歩き出してしまう私はチョロい…のかも。


だって、私って片桐くんのこと気になってたんじゃないの?


と、自分でも自分の感情がよく分からなくなってきてしまった。