彼の暴言にはヤンデレが隠されている。



これまでずっと幼なじみをしているけどこんな彼の姿は見たことがない。


「坂下…いや、美夜、話して?私に話してよ、私たち幼なじみじゃん」


そう言って彼の手を握っても、


すぐに、



拒絶されて離されてしまった。


少し傷ついた私に、そんな私よりも傷ついたような声で彼は言った。


「幼なじみが、嫌だ」


その声は、あまりにも悲痛だった。


次の瞬間、


覚悟を決めたような彼と目が合って、

月明かりがすごく美しくて、

何より美夜が美しくて。


彼は切なそうに微笑みながら私に聞いた。



「…お前最近気になってるやついるよな?」


それに思わず、ドクンと心臓が波打つ。


何も言えず答えられない私に、


彼は、掠れた声で聞いた。



「…隣の席の片桐響紀だろ?」


その核心をついた言葉に、


つい反射的に「…ぁ」と小さく漏らしてしまった私の声が、


きっと肯定の合図だった。


私の反応を見るや否や、


彼は「やっぱりな」と呟いたかと思うと、


そばに来て、私を


静かに優しく、抱きしめた。


甘い香り、男の人のしっかりとした体、そのすべてに思わずドキドキしてしまうけれど、


それはこの人が『坂下美夜』だからだろうか…?



それから、私の耳元で紡がれる彼の言葉は



私にとって、信じられないものだった。