彼の暴言にはヤンデレが隠されている。


それからお互い食べたいものを食べて、

適当に会話をしてお会計。


私も財布を出して席を立ったときに、

彼はもうさっさと歩いて会計のところに行ってしまった。


確か私はパフェとポテトを頼んだからお金はこのくらいで足りるな〜と手に取ったのに、


会計についた頃に、


「金払ったから財布しまえよ。俺バイトしてんだからお前と違って金持ってんの」


と言って、

また私の右腕を掴んだかと思うとそのままファミレスを出てしまった。


もう辺りは暗くなってきていて、

少し生温い風が頬をかすめて外の世界にお出迎えした。


「え、まって、払うから!」


とお金を渡そうとしても「いらねぇ知らねぇ」と貰おうとしない。


それどころか止まりもせず歩くから、


私は思わずムッとして、


「……美夜!止まって!」


…昔の呼び方。


下の名前でそう呼ぶと、

彼は「え?」とつい驚いてしまったらしく立ち止まった。


暗い街に映える車のライトや信号、建物の光。

それを全て背景にしてしまう、


坂下の綺麗なルックスについ見惚れるのは許して。


見つめながら、


「お金!払ってもらうなんて悪いよ!」


そう言って手渡そうとすると彼は我に返って、

「もらわないって、しつこいよお前」


といつも通りキレられる。


もう何を言っても聞いてくれなさそうだから、

「…じゃあお言葉に甘えます」


と言って、仕方なくしまった。


せっかく払ってくれたんだから感謝を伝えようと彼のそばに駆け寄って、


「坂下、ありがとう!」


と笑うと、 


彼は、そんな私を見つめて1人黙って、


私が見たこともないような、




すごく切なそうな、表情をしたんだ。



「…お前は、変わってきたよな」


「ずっと笑わなくなってたのにここ最近笑うようになって」


「俺に、彼女が出来そうになっても何とも思わないんだよな」


静かに、ポツリポツリと、まるで小雨が降り出したときのように話し出す彼に、


「…え、どうしたの」


と困惑するのは仕方のないことで。


人があまり通らない道端。


何やら様子がおかしい坂下が心配で、


「ねぇ、どうしたの?」と何度も聞くけど、彼はこっちを見てくれない。