「……凛花、俺、なんかした?」


しゃがんで私の机に両手をついて、
私を見上げる遥先輩。

その黒く潤んだ綺麗な瞳が
不安げに揺れている。


その瞳を見つめながら
しばらく悩んで……



「……お手」


しゃがみこんだ遥先輩に
手のひらを差し出してみた。


「『わんっ! 』
と、言うとでも思ったか、
バカ凛花!」


怒り狂った遥先輩に
ぎゅっと頬っぺたをつままれた。


「いひゃい! いしゃいっ!」


「お前、なんか変。どうしたんだよ」


「なんでもない」


ひりひりと痛むほっぺたをさすりながら
そう答えたけれど、

本当にどうしたんだろう?