「鈴之助、
今は突き抜けてる感じがするけどな」


優しく笑う遥先輩に
目を伏せる。


「でも長い間、
実家には帰れてない。

家バレしちゃってるし、
中学時代の鈴之助のことを
中傷するひともいる。

鈴之助自身も
批判されやすいこと、わかってる」


「なるほどな」


「鈴之助はお母さん方の従兄弟なの。
叔母さんがバリバリ仕事してて、

小さい頃から鈴之助のこと、
よくうちで預かってたから、

弟みたいな感じで
ほっとけないのもあって」


「いとこ?」


「そうだよ、いとこだよ。

鈴之助も分かってるんだよ、
自分の居場所は芸能界だけだって。

だからどんな仕事でも受けてる。

まあ、どんな仕事も引き受けすぎてて
それも、心配なんだけど」


両手で膝をかかえて視線を落とすと、
くしゃりと遥先輩に頭を撫でられた。


「なるほどな。
妬けるほどにイトコ想いってことですか」


「そういうわけじゃないけど、
でも頑張ってほしいと思ってる」


「まあ、そうだな。……じゃあさ」


ひょいっと、
遥先輩に眼鏡を取り上げられた。