「そんなに面倒なら、
学校なんて休んじゃえばいいのに」


「そういうわけにはいかないよ」


「凛花は真面目ちゃんだからな」


私はいたって普通の人間だと
思って生きてきたんだけど、
違ったのかな。


「それよりさ、
凛花、美白点滴って知ってる? 

最近、流行ってるらしくて、
俺、興味あるんだよね~」


「点滴は、病気のときだけね」


なんで、私は
こんなアドバイスを
まだ15歳の従兄弟(男)にしてるんろう?

従兄弟ながらに、普通じゃないな。


あー……

なんだか、色々なことがありすぎて、
キャパオーバー。


軽く目をつぶると、あっという間に
睡魔の波に飲み込まれた。


うとうとと気持ちよく眠っていると、
ガタッと物音がして、ハッと目を覚ます。


「わわっ、ここで寝ちゃったんだ! 
どのくらい寝てた?」


「んー、30分くらいかな。
凛花、疲れてるの?」


「なぞのストレスがね、
ミルフィーユのように積み重なって……」


はあ。
明日からの学校生活、
どうなっちゃうんだろう。


「ちょっと走ってこようかな。
いい汗かいて、すっきりしたい」


「それはダメ」


……ん?

なぜなのか、ソファから仰いだ天井に
遥先輩の顔がすぐそこに。


「う、うわああああっ‼
……ど、ど、どうして遥先輩がここに?」


「久しぶりに鈴之助に会いに来た。
あ、もしかして、
凛花、うぬぼれちゃった?

自分に会いにきたーとか、
思っちゃった?

そして鈴之助に妬いちゃった?」


し、心臓、つぶれる……


び、びっくりした……


いきなり人の家に侵入するなんて、
このひとも普通じゃないな。


私が静かに余生を送れる
安息の地はいったい、どこへ?


がっくりと肩を落としたところで、
動きをとめる。