こんな溺愛、きいてない!

「いい度胸だな、凛花」


廊下では、

片方の頬を真っ赤にはらした
遥ちゃんが、

鬼のような形相で
仁王立ちしている。


うん、とても怖い。


「俺、お前の先輩なんだけど。
それ、分かってやってんだよな?

遥ちゃん、じゃなくて、
遥センパイだしな?」


こっわーーーー……


もはや
怖すぎて、
目が合わせられない。


「ほら、バカ凛花、行くぞっ!」


「ど、どちらに?」


「俺んちに決まってるだろ」


さらっと腰に添えられた手に
ぞぞっと鳥肌がたつ。


今度は、なにをされるんだろう?


「ち、ち、ち!」


「痴漢とか言ったら、
鈴之助のこと、速攻ばらすけど?」


耳元でぼそりと呟いた遥ちゃんに、

間髪入れずに
満面の作り笑顔を貼り付ける。