「わ、わ、わ、私のファーストキスが、
良く知りもしない、
遥ちゃんの偽物なんかに……!」


あ、悪夢だ。

こんなの悪夢に決まってる。



「おいおい、本物だっつってんだろ?」


「それにしたって、
ひ、ひどいっ。

う、う、うわあああんっ」


泣き崩れると、ポンポンと
遥ちゃんが私の頭をなでる。


「ほら、泣きやめって」


「だって……」


「ほら、いいから、元気出せって。
な、顔上げろ」


ううっ……

どうして
自分を泣かした張本人に
私は慰められてるんだろう?


「そもそも、こんな契約、
俺に利点がなさすぎだろが」


ひ、開き直った!

恐ろしいな、このひと!