「遥さん、こんな子どもの頃の落書きで、凛花のことを縛り付けようとしないでよ」



「鈴之助?」



突然現れた鈴之助に目が点になる。



「なんで鈴之助がいるんだよ」



「ここ、凛花と俺の家だから」



ま、まあ、そうなんだけど。



ちょっと言い方に語弊があるような……



「マジで凛花を遥さんと同じ学校に、行かせなきゃよかった。遥さん、凛花のこと保健室とかに連れ込んで、いかがわしいことしそうだし」



「あー、それ、いいな」



「黙って!」



じろっと遥先輩をひと睨み。



「あのさ、俺がこの家にいる限り、遥さんの好き勝手にはさせないよ?」



「す、鈴之助?」



また役作りなのかな?



「俺がこの家にいるのは、凛花と一緒にいたいからだよ。だから遥さんのつけいる
隙なんてないんだから。悪いけど、凛花にとって、俺は特別な存在なんだからね。他人の遥さんには残念だけど」



「凛花は俺のだし」



「俺の凛花だよ、遥さん」



んん?



私はだれのものでもありませんが?



「所詮、イトコはイトコだろ」



「俺と凛花はちょっとだけ血がつながってるからね。一心同体、みたいなもんだ
よ」



「一心同体とか言うな‼ そもそも血つながってたら、家族なんだよ、カ・ゾ・ク」



「俺なんて、風呂上がりの凛花とか寝起きの凛花とか、遥さんの知らない凛花のこと、いっぱい知ってるんだよ」



「くっ……」



「ちょ、ちょっと、ふたりとも落ち着いて!」



今にも掴み合いになりそうな二人の間に割って入ると。



「「凛花は黙ってろ」」



ひえっ! 



私が怒られた!