「はい、じゃ、つぎはふたりで。凛花ちゃん、準備お願いします」



遥先輩の撮影に夢中になって忘れて いたけど、私もやらなきゃいけないんだった。



うう、気が重い……。



羽織っていたベンチジャンパーがはぎとられると、オフショルダーのウェディングドレスがあらわれる。



肩がすーすーして、緊張で心臓破れそう……



青ざめて立ち尽くしていると、遥先輩が横に立つ。



「凛花、俺が一緒にいるから大丈夫だよ」



「う、うん……」



そのとき、パシャっと響いたカメラの音に、びくっと 飛び上がる。



「す、す、す、す、すごいね 、遥先輩、こんな場所であんなに堂々と振舞えるなんて」



どうしよう、震えが止まらない……



「今日の凛花の仕事は、俺の隣にいること。凛花は俺を幸せな気持ちにしてくれれば、それでいい。だから、あとは全部、俺に任せて」



「う、うん……」



案の定、撮影は始まったものの緊張は高まるばかり。



「ちょっと、固いなー」



「凛花ちゃん、顔は映らないけどね、肩にちからが入っちゃてるのが分かるから。
もっとリラックスできる?」



無理です。



全く、無理難題。



すると、私の耳元に顔を寄せた遥先輩がこそっと呟く。



「凛花、もっと俺にくっついて」



え?



遥先輩の片手が腰にまわされ、びくっと跳ねる。



もう、足が震えちゃって、まっすぐ立っていることすらままならない。