「どうした、凛花?」



「どうした、じゃなくて! こ、ここ、渡り廊下!」



「だからなに? 見てる奴には、がっつり見せるし、見てないやつには、いつか見せるし」



お、おかしい!



頭のねじが数十本抜けちゃってる!



すると、野球部員の皆さんの視線が一斉に私たちに注がれていて。



「す、すげえ、俺、生チュー、初めてみた」



「お、俺も!」



「モデルHARUKAのキスシーンとか、綺麗すぎだろ‼」



みなさん、遠慮なく、包み隠さず興奮しています。



ううっ……地味で静かな高校生活なんて、今や完全崩壊。



渡り廊下で生キス晒すような、破廉恥な高校生活をおくることになるなんて。



「凛花、なんで怒ってんの?」



「……どうして怒ってると思う?」



「俺の愛情表現が中途半端だから?」



「ぶち抜きで、日本人ばなれしてるからご安心を」



彼女なんて呼ばれて、ときめいてる場合じゃなかった。



遥先輩とつきあうってことは、予想外の蛮行(過剰な接触とか、ありえない場所でのキスとか!)からの防御を考えなきゃいけなかったんだ……!



「じゃ、お詫びに俺の仕事手伝って」



「え?」



「ブライダルモデル」



お詫びに、ブライダルモデル?



そもそも、お詫びに私が仕事手伝うって、おかしいような。