こんな溺愛、きいてない!

目の前にせまる派手な顔立ちと、
鋭い視線。


「ん?」


「俺、あんたに話しかけてるんだけど」


鋭利な目つきで
見据えられて、動きを止める。


綺麗だな、とは思うけれど、

できるだけ、
こういう派手なタイプのひととは、
知り合いになりたくない。

もめごとに巻き込まれる予感しかしない。


君子危うきに近づかず。


逃げよう。

すっと席を立つと、
ぐっと腕をつかまれた。


「無視すんなよ、感じわりいな」


「ご、ごめんなさいっ」


思わず謝ってしまった自分を
今すぐ殴りたい。


だめ、これ、悪い癖!

自分は悪くないのに、

ついつい
優等生的な返事を返してしまう。


「久しぶりだな、凛花」


「は、はい?」


リンカって誰?


……って、私のこと?