こんな溺愛、きいてない!

「いつ声が出るのかわからない、
一生声が出ないかもしれない。

その暗闇から救ってくれたのが
凛花だったんだよ。

だから俺にとっての凛花は
絶対的な存在だった。

それに、実はさ、
どうしても凛花に会いたくて、
ちょいちょい、凛花に会いに行ってた」


「え?」


「つっても、図書館で
本を読んでる凛花の隣に座ったり、

学校帰りの凛花を遠くから見てただけ
……なんだけど」


そんなに近くにいたのなら……


「話しかけてくれたら
よかったのに!」


「正直、凛花が可愛すぎて、
自分から話しかけることなんて、
できなかったんだよ。

それに、凛花、
全然、俺に気が付かなくて

忘れられたのかと思って
結構へこんだ。

ま、今になってみたら当然だよな、
俺のこと、女だと思ってたんだから」


ちらりと睨まれて、
体を縮める。


「あの、それについては
本当に、ごめんなさい」


正直、本気で遥ちゃんは
女の子だと信じていた。

可憐ではかなくて、可愛くて。

本物のお姫様なんじゃないかと、
思っていたくらい。