「でも、やっと幼稚園が
楽しくなってきたころに、
もとの家に
そろそろ戻るって聞いて。
凛花とずっと一緒には
いられないことを知った。
それで、
凛花と話したいって猛烈に、焦った」
「それで、……私の名前を?」
「りんか、って声が出たときは
ホントに嬉しかった。
好きな女の子の名前を
やっと呼べたんだから。
そしたら、
『遥ちゃん、綺麗な声だね』
って凛花が笑ってくれて。
そこから、
普通に話せるようになるまで
そんなに時間はかからなかった」
遥ちゃんの、
少し高くて透明な優しい声は
今でもよく覚えている。
妖精みたいだなって、思ったから。
「他の奴らは、
『遥って話せないんだと思った』とか
『なんの病気だったの?』とか
ストレートに
聞いてくるやつもいたけど、
凛花は最初から最後まで、
なにも聞いてこなかった。
あのときから、
ずっと、俺には凛花だけだよ。
凛花のことだけが、好きだった」
「……大切に想ってくれて、
ありがとう」
あの頃の私は
ただ遥ちゃんの隣が居心地がよくて、
可愛い遥ちゃんが大好きで、
隣にいたかった。
「でも、ひとつだけ、聞いてもいい?」
「ん」
「10年くらい会ってなかったのに
それからずっと?
私が悪党に
成長してるかもしれないのに?」
楽しくなってきたころに、
もとの家に
そろそろ戻るって聞いて。
凛花とずっと一緒には
いられないことを知った。
それで、
凛花と話したいって猛烈に、焦った」
「それで、……私の名前を?」
「りんか、って声が出たときは
ホントに嬉しかった。
好きな女の子の名前を
やっと呼べたんだから。
そしたら、
『遥ちゃん、綺麗な声だね』
って凛花が笑ってくれて。
そこから、
普通に話せるようになるまで
そんなに時間はかからなかった」
遥ちゃんの、
少し高くて透明な優しい声は
今でもよく覚えている。
妖精みたいだなって、思ったから。
「他の奴らは、
『遥って話せないんだと思った』とか
『なんの病気だったの?』とか
ストレートに
聞いてくるやつもいたけど、
凛花は最初から最後まで、
なにも聞いてこなかった。
あのときから、
ずっと、俺には凛花だけだよ。
凛花のことだけが、好きだった」
「……大切に想ってくれて、
ありがとう」
あの頃の私は
ただ遥ちゃんの隣が居心地がよくて、
可愛い遥ちゃんが大好きで、
隣にいたかった。
「でも、ひとつだけ、聞いてもいい?」
「ん」
「10年くらい会ってなかったのに
それからずっと?
私が悪党に
成長してるかもしれないのに?」



