混み合う購買で、飲み物を買い、
教室に戻ろうとしたところで、

ばったりと
赤い口紅の大蛇先輩と居合わせた。


……あ。


ちらりと鋭い瞳で
見据えられて、

びくびくしながら、
ぺこりと頭を下げる。


すると、
唇を真っ赤に染めた大蛇先輩に
威嚇された。


「あらー、遥の地味でぶっさいくな
“カノジョ”ちゃん!」


いきなりの
濃厚な挨拶!


「あのねえ、ブサイクちゃんは
知らないと思うけどお、

遥には、
ちゃんと親公認の相手がいるからねえ?

今まで遥が、だれとも付き合わなかったのは、
遥には決まった相手がいたからでえー」


「……え?」


デジャヴ?

すると、凍り付いた私を見た大蛇先輩が、
嬉しそうに、シャーっと口を開く。


「やだあ、ごめんねえ、
知らなかったのお?

花組では結構有名な話なんだけどねえ。

遥に、親公認の相手がいるってこと。
草組には届かないよね、
そんなセレブの事情は」


「ご、ごめんなさい、失礼、します!」


赤い口を開いて
シャーシャー言ってる大蛇先輩を置いて

走ってその場を後にした。