「さっき、遥さんの車から
ふたりで一緒に降りてくるのが
見えた。

なんか、距離とか近かったし」


視線を尖らせる
鈴之助に

なんて伝えたらいいのか
分からなくて

ゆっくりと言葉を選ぶ。


「その、色々あって、
つきあってることに、なってるんだけど、

はっきりと
意思確認してる訳ではないというか。

もともとは契約、
みたいな感じだったから……」


「は? 契約?

どうせ、遥さんが
むちゃくちゃなこと言って、
凛花のこと、振り回してるんだろ?」


「ち、違うの!
その、初めは、そうだったかも……
しれないけど」


「だったら、はっきり断れよ。

凛花の写真が出回ってるって聞いて
協力してくれとは言ったけど、

凛花のこと、
好き勝手に振り回していいなんて
一言もいってない」


「たしかに、
振り回されてはいるんだけど」


「だったら!」


声を張り上げた鈴之助を
じっと見据える。


たしかに曖昧な関係のまま
お互いの気持ちを確かめることも、

自分の気持ちを伝えることもなく

一緒に過ごしているけれど。



「私は遥先輩のことが、好きなの。
それで、一緒にいるの」