「鈴之助、急に、どうしたの? 
仕事でなにかあった? 大丈夫?」


それにしても、

いつの間に、
こんなに背が高くなったんだろう……?


「バカ凛花! 
なに呑気なこと言ってんだよ!

凛花こそ、大丈夫なのかよっ!

凛花、マジで心配させないで。

遥さんから連絡があって、
気が気じゃなくて、仕事の合間ぬって
飛んで帰ってきたんだよ!」


「え?」


飛んで帰ってきたって……
北海道から?


「ちゃんと、凛花の顔見ないと、
安心して仕事なんて出来ない!」


「ご、ごめんね。
遥先輩が警察も呼んでくれて。

だから、もう大丈夫だよ。
そ、それより、鈴之助……?」


ぎゅっと強くしがみついて離れない
鈴之助を不安に思う。


「遥さんから話、聞いて、
居ても立っても居られなかったんだよ」


「それで、北海道から?
ご、ごめんね、本当にごめん。

まさかこんなことになるとは
思わなくて。

仕事中にホントにごめんなさい」


鈴之助の仕事の邪魔までしちゃうとか、

どれだけ周りに
心配かけちゃったんだろう……


さすがに情けなくて視線を落とす。


すると、鈴之助が
丸い目を潤ませてまっすぐに
私を見つめる。


「凛花、いとこ同士って
結婚できるって、知ってた?」


「……はい?」


今、撮ってるドラマの話かな?


「俺と凛花、結婚できるんだよ。

おれ、凛花のこと、
遥さんに譲るつもりはないから」


「鈴之助……、な、なに言ってるの⁈」


「だからさ、俺のことも、
ちゃんと凛花の彼氏候補に入れて。

一緒に暮らしてる分、
俺のほうが有利だし。

負けるつもりはないから」


「ちょ、ちょっと待って、鈴之助⁈」


「じゃ、俺、仕事に戻るね。
夜には撮影始まっちゃうから」


眩いほどのアイドルスマイルで

私の頭に

軽く唇を落とすと、

バタバタと去っていった鈴之助を
呆然と見送った。





☆*:.。. 第3章に続く.。.:*☆