「マジでもっと、気を付けろよ」


「……うん」


ピタリと足を止めて
うつむく遥先輩。


「……遥、先輩?」


「……だろ」


「え?」


聞き取れないほどの声で
地面に呟く

遥先輩の顔をのぞきこむ。


「つうかさ……
こんなの絶対、ダメだろっ!

……っざけんなよっ!

なんで、
凛花がこんな目に……‼︎」


次の瞬間、
息もできないほど
強く、強く、抱きしめられた。


すると、
かすかに腕の力を弱めた遥先輩が、
不安そうに私の顔をのぞきこむ。


「凛花、俺に触られて、
嫌…じゃないか?

嫌だったら、ちゃんと、言って」


確認するように、
私を真剣に見つめる遥先輩に

ゆっくりと首を振る。


「嫌じゃ、ない。
遥先輩に触られるのは、

嫌じゃ、ない」


まっすぐに遥先輩を見つめて答えた。