こんな溺愛、きいてない!

そのとき、突然ドンと部屋が大きく揺れて
部屋の扉が壊された。


扉と一緒に、倒れ込んできたのは
遥先輩だった。


つぎの瞬間、
高山先生の体が床に
叩きつけられた。


「……は、るか、せんぱい」


息をのみ、
高山先生を力任せに
殴りつけている遥先輩を
呆然と眺める。


「凛花!」


私に駆け寄ろうとした遥先輩は、

床に転がる先生のスマホが
動画撮影中に
なっていることに気が付くと、

そのスマホをつかみ、

壁に投げつけようとした。


けれど、その手は
駆けつけた警察官に止められた。


「証拠保存のために、ご協力願います」


その一言に、
しぶしぶとスマホを
警察官に渡した遥先輩は、

うずくまる高山先生に
もう一発勢いよく蹴りを入れると、

手錠を外してくれた。


でも、どうして、警察まで?


窓の外では
パトカーのサイレンの音が響いている。


ガタガタと震える体を
遥先輩に抱きしめられた。