「あ、あの、せ、先生、これは?」


そう、言いながらも、
全身から血の気が引いていく。



「奇跡の美少女の

白石凛花ちゃん、だよね?」



「……どうして?」


恐怖にかすれる声は、

言葉にならず

消えていく。


「ほら、学校で
メガネ落としたことがあったでしょ、

廊下でドンってぶつかって。

あのときにね、
顔見て分かっちゃった。

海外暮らしとかさ、
モデルデビューとか

上手く考えたよね。

神楽坂君も
芸能事務所に所属してるから、

そのあたりは
彼の仕込みなのかな?」


全部、……バレてる。


……ど、どうしよう。


スマホは
リビングルームに置いてきちゃったし、

で、でも、とにかく、

早くここから逃げないと!


ちらりと扉に視線を向けると、


高山先生が
笑顔で部屋の扉をバタンと閉めた。