「いいよ、入って」


「おじゃま、します」


靴をそろえて、誰にともなく呟いた。


リビングルームで
先生の用意してくれたお茶を飲みながら
メンバーが揃うのを待つものの、

誰一人としてやってこなければ
メッセージひとつ届かない。


先生のご家族も留守にしてるのかな?


静まり返る家はちょっと居心地が悪くて
ソワソワしてしまう。


「みんな遅いですね?」


「そうだね、退屈しちゃった?」


「あ、いえ」


もしかすると、みんな予定が入って、
来られなくなっちゃったのかな?


それなら、
別の日にしたほうがいいかもしれない。


補助で入った私とふたりで作業したところで、
役には立たないだろうし。


「あ、あの!」


また別の日に、と言いかけた言葉は
立ち上がった先生にあっさりと遮られた。