「凛花さ、なんか怒ってる? 
つうか、拗ねてる?」


うっ……

微妙に本音に近いところが、
えぐられた。


ホントは、ちょっと
怒ってるし、拗ねてるし。


でも、言えないよ。


遥先輩が
チア部の先輩と話してたことを、

こんなに気にしてるなんて。


ぐっと、視線を落とすと。


「ほら、元気だせ」


占有率90%の
人の多めの教室で、  

私の顔を覗き込んだ
遥先輩の唇が

私の唇のうえで、一瞬、跳ねた。


「これで公認だな。
おめでと、凛花」


「…………っ‼︎‼︎」


な、な、な、なんてことを!


悲鳴に包まれる教室で、

耳もとでささやいた遥先輩の足を、
思いきり踏みつけた。