「ど、ど、ど、どうして
遥先輩はこんなことばっかりっ!」


「俺が凛花のこと、好きだから」


ほっぺたを両手で挟まれて、

遥先輩の甘い瞳に
ドキリと心臓が飛び跳ねる。


遥先輩と見つめ合い、
胸の奥がギュッと熱くなって

そっと目を伏せる。


「そ、それは、
わ、わた、わた、しも……」


「だから、もっと凛花が欲しい」

………


さらに迫ってきた遥先輩に
目を見開く。


違う!

なにかが違う……!



「だから、
こ、こういうのじゃなくて!」


「こういうのだろ?」


と、言いながら
遥先輩の顔がまたまた迫る。


自然な流れどころか、
こんなの激流!

っていうか、濁流っ!


この流れにのまれたら
大変なことになるっ!


にっこりと破壊力抜群の笑顔で
迫ってくる遥先輩から
じりびりと後退り、

ガシャンと
フェンスに背中がぶつかったところで

遥先輩に捕獲された。


「はい、捕まえた♪」


くっ……


諦めて
ギュッと目をつぶったところで
遥先輩に強く、

強く、

抱きしめられた。



「ちょっ! 遥先輩、ホントに苦しいっ!」



息が出来ないほど
強く抱きしめられて

遥先輩の腕のなかから
必死に逃れようとすると

かすれた遥先輩の声が届く。

「契約でもなんでもいいから
俺の側にいろよ。

お前の笑った顔も、怒った顔も
全部…好きなんだよ。

俺、凛花のことが、
可愛くてたまんない……」


驚いて見上げると、
遥先輩は真っ赤な顔をして

怒ったように口を尖らせている。


「…だから、俺に凛花の全部を
ちょうだい」


「それは、無理」


「……即答すんな」


「だって…」


「だって……なに?」



下を向いて戸惑っていると、
言葉の続きは全部、

ふわりと笑った
遥先輩の唇に持っていかれた。



………第2章につづく………