屋上で正座して
遥先輩と向き合う。


「はい、質問。
いつから、私は
遥先輩のものになったんですか?」


ぷいっと視線をそらした遥先輩が
口を尖らせる。


「もう、いいだろ」


「なにが?」


「契約、とかじゃなくて。
ちゃんと、カレシとカノジョで」


「どうして?」


「そんなの……
言わなくてもわかるだろ」


「全く、一ミリもわからないけど?」
 

「俺たち、つきあってるんだよな?」


「その心は?」


「だって、何度もキスしたし。
この前のは
かなりの深度と濃度があったし」


……かなりの深度と濃度?

……この前?


遥先輩のその一言にふっと、
意識が遠のいていく。


ショックのあまり
脳から抹消していた記憶が
ほんやりと蘇る。


……やっぱり? あの撮影の日? 


なんだかもう、
いろんな事がありすぎて、

どこまでが現実で、
どこからが夢のなかの話なのか、

記憶が曖昧になってたんだけど。


「私たち、その、…キス、したの?」


「うん、わりとガッツリ」


「夢じゃなくて?」


「夢みたいなキスだった?」


「悪夢のほう……?」