こんな溺愛、きいてない!

「さ、凛花、どれからやってみる?」


にっこり笑った亜由に
両手をバタバタと振って
慌てて辞退する。


「いやいやっ。
大切な時間とメイク道具を
私なんかに
使ってしまうのは
本当にもったいないっていうか!

心苦しすぎるっていうか!

私はむしろひっそりと、

雑草のなかでも
目立たない存在でいられれば
それが、なによりの幸せだから。

いや、もう、雑草のなかでも、

バクテリアほどの存在感で
ひっそりと高校生活を終えられれば、
それが一番っていうか!」


「バクテリア??」


「なにそれ?
なんだかよくわかんないけど
自分をあんまり卑下すると
怒るからね」


「そうそう、『私なんか』なんて
絶対に言っちゃダメだから!」


くっ、こうして怒ってくれる
ふたりの素晴らしさ……

胸がじわりと熱くなる。