「……もういいよ。

こんなことにまで
口出しされるくらいなら、

契約なんて、もうやめる。

今後一切、
遥先輩の言うことも聞かない。

鈴之助のことだってバラせばいい」


悔しくて、
喉の奥がぎゅっと熱くなって、

涙が零れないように
唇をかみしめる。


契約だと言われたことにも、

一方的な遥先輩の言い分にも
納得できない。


家族に有名人がいることの大変さを、
どうしてわかってくれないんだろう。


どうして、
遥先輩はいつも自分の気持ちばっかり
押しつけてくるんだろう。


「とにかく、
ランニングはやめておけよ!」


声を荒げて乱暴にドアを閉めると、
遥先輩は出て行ってしまった。