ちらりと遥先輩を見上げて
ギュッと口を結ぶ。


メガネを置いてきた理由は…

キラキラした
遥先輩のとなりにいるのが

こんな地味な姿形をしている
私だなんて

ちょっと情けなくなってきたから。


なんて、
本人を前にして
そんなこと、言えないのだけど。


この気持ち、
自分でもうまく整理ができていない。


「好きな奴でもできたの?」



「まさか! どうしてそうなるの?」


って、どうして、私はこんな言い方しか
できないんだろう……



「メガネ、似合ってるのに」


そう言って柔らかく笑った
遥先輩からそっと視線を外す。


「でも、一日メガネしてると
頭いたくなるし」


「今まで我慢できたんだろ」


足を止めて、じっと遥先輩を見つめる。


「どうして、そんなにこだわるの?」


なんだか今日の遥先輩、おかしい。


「んー、つうかさ
凛花がメガネ外した顔は俺だけに見せて。

俺だけの特別感を堪能したい」


にっこりと笑う遥先輩に
大きくため息。


「ごめん、
ちょっと、変態っぽくて気持ち悪い」



「って、ことで、今日の放課後、
凛花の家に遊びに行くから
メガネ外して待ってろよ。

さ、メガネ、取りに帰るぞ」


「え、ええ~っ⁈」


強引に連れ戻されて、
結局メガネを装着して

いつも通りに登校することになってしまった。