「せめて仕事がないときだけでも、
俺が凛花の送迎しようかな。
そもそも、なんで毎日、
遥さんが凛花の送迎してんだよ」


「そりゃ、凛花の安全な毎日のため」


「別の意味で、超不安。
仕事がないときだけでも、
俺が迎えにいこうかな」


「それはダメ。絶対」


鈴之助の目の前で大きく×印。


「鈴之助がうちの学校に来たら、
学校まわりの道路がすべて車両通行止めに
なるくらいの大騒ぎになって、
多方向的に迷惑かけることになるから」


間違いなく、
翌日のネットニュースを
お騒がせすることになっちゃう。


「ちぇっ」


「ってことで、凛花は俺のもの」


うわっ!


遥先輩に肩を抱かれて、
ぐらっと遥先輩に倒れかかる。


次の瞬間、
ドンッと鈴之助が遥先輩を突きとばした。


「遥さん、ちょっと調子乗りすぎ」


「鈴之助こそ、
ただの従兄弟のくせに干渉しすぎ」


うわわっ!


ソファの上で
取っ組み合いを始めたふたりの勢いに、
弾きとばされ床に落下……


……しかけた私を、遥先輩がすくいあげる。


「はい、俺の勝ち」


「は? 早く自分の家に帰ってよ。
遥さん、マジで邪魔だから」


そうして、
ふたたび言い争いはじめたふたりの前で
仁王立ち。


「いい加減にしなさいっ!」


家が震えるほどの大声で叱りとばした。


もう! 


幼稚園生じゃないんだから!